姿勢の乱れは“感覚の乱れ”?|前編 姿勢改善は感覚から
改善しない姿勢の意外な原因とは?
「マッサージや整体に行っても、すぐに姿勢が戻ってしまう」
「姿勢が悪く、肩こりや腰の違和感がなかなか取れない」
そんな姿勢のお悩みはありませんか?
合わせて、以下のようなことに心当たりはないでしょうか?
- 首や腰がガチガチに固まっている感覚
- 運動不足を自覚している
- 日中は座りっぱなしがほとんど
これらは、姿勢の乱れと身体の「感覚」が深く関係している可能性があります。

姿勢の乱れは肩こりや腰痛につながりやすい
姿勢の崩れの“本当の原因”とは?
一見すると、「筋力不足」や「柔軟性の低下」が姿勢不良の原因に見えるかもしれません。
しかし、実はもっと深いところに原因がある可能性があります。
それが、「感覚の乱れ(センサーの不調)」が原因の一つとして考えられます。
姿勢は“神経システム”で保たれている
「姿勢(Posture)」にはさまざまな定義がありますが、一般的には人が意識的に取る、静止した身体の形とされています。
この姿勢を保つ働きのことを、専門的には「姿勢制御(postural control)」と呼びます。
姿勢制御とは、無意識に実行される自動的な運動制御である。
※出典:『姿勢の脳・神経科学』
この姿勢制御は、神経系・感覚器・筋肉などの協調的な働きによって成り立っています。
目的とする姿勢(立位・座位など)に合わせてそれぞれの姿勢制御機能がうまく働くことで、負荷が少ない姿勢を維持することができます。
つまり、単に「意識して背筋を伸ばす」だけでは十分な姿勢制御機能を活用できないため、十分なアプローチとは言えないかもしれません。
身体のセンサー(感覚器)が姿勢の土台をつくる
姿勢制御がうまく機能するためには、身体に備わったセンサー(感覚器)の働きが欠かせません。
主に関与するのは、以下の3つです:
- 視覚系(目から得られる情報)
- 前庭系(耳の奥の三半規管や耳石器。重力・傾き・回転を検知)
- 体性感覚系(筋肉や関節の動き・圧・張力を検知)
これらの情報を脳が統合・処理し、最終的に筋肉に指令を出すことで、私たちは無意識にバランスの取れた姿勢を保つことができます。

身体の感覚をもとに脳や筋肉が姿勢をコントロールする
運動不足で“感度”が落ちる
では、なぜ運動不足が感覚の乱れを引き起こすのでしょうか?
たとえば、デスクワークで頭の位置を長時間固定していると、耳の奥にある前庭系への刺激が減少します。
その結果、頭の位置を反射的に安定させる前庭頸反射の働きが弱まり、頭部が前方にずれた姿勢(いわゆる猫背)が定着しやすくなります。
また、首まわりの筋肉も本来は、頭の位置を微調整する筋紡錘(きんぼうすい)と呼ばれる“筋の長さを検知するセンサー”が存在して、筋肉の長さを調整する役割を担っています。
しかし、運動不足などにより首の筋肉が緊張すると、筋紡錘への感覚も低下し、うまく姿勢をコントロールできなくなります。
その結果、無意識のうちに以下のような姿勢の変化や不調が起こりやすくなります。
- 背中が丸まる
- 頭が前に出る
- 肩や首の筋肉に過剰な力が入る
こうした慢性的な“猫背姿勢”が定着すると、筋肉の血流が低下し、緊張性頭痛や肩こり・腰痛を引き起こして仕事や生活のパフォーマンス低下にもつながってしまいます。

運動不足による感覚の乱れはパフォーマンスを低下させる
姿勢を根本から改善するために
「姿勢が気になるけど、何をすればいいのかわからない」
「運動で姿勢を改善したい」
そんな方は、まず自分の身体の状態を正しく把握することが大切です。
そのうえで、感覚を適切に刺激するトレーニングを行うことで、無理なく姿勢を整えていくことを目指していきます。
例えば、反り腰や猫背が気になる場合にも、バランス感覚や足首・股関節の機能をチェックすることで、無理に腰や頭を動かしていることに気づくことがあります。
Yousfullでは、以下のステップで根本的な姿勢改善に取り組んでいます:。
- カウンセリングによる生活習慣の把握
- 身体の癖や、感覚、筋力、可動域、バランスのチェック
- 体力に合わせたエクササイズの提案
一人ひとりに合わせたオーダーメイドプログラムをご提供しています。

Yousfullでは姿勢改善に必要な身体機能をチェック
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まとめ・次回予告
最後までご覧いただきありがとうございました。
姿勢を根本的に改善するには、良い姿勢を意識するだけではなく、身体の感覚から姿勢をコントロールする機能を高めていくことが大切です。
後編では、前庭系や股関節・足首の機能にフォーカスして、
具体的に姿勢を改善するためのポイントや実際のトレーニング方法をご紹介していきます。
ぜひ次回もご覧ください!
参考図書・文献
『姿勢の脳・神経科学』市村出版(2011)
『前庭脊髄系の解剖と生理』Anatomy and Physiology of the Vestibulospinal System.Yuriko Sugiuchi(Equilibrium Res Vol. 80(4) 303~310,2021)